本訴の会2




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第12回口頭弁論の傍聴報告
 7月6日11時より、東京高裁101号法廷にて口頭弁論が1年ぶりに開かれた。この間、非公開での進行協議が随時行われてきた。中電は2009年8月の駿河湾地震による5号機の揺れが特に大きかった原因を究明するための地下構造調査を行い、その結果の分析完了までは進められないという方針により、裁判は漂流状態になっていた。今回裁判長をはさんで左右2名の裁判官が交代になったため、弁論の更新が行われることになった。
 福島原発事故により、原発は地震で壊れ、取り返しのつかない悲惨な事態を引き起こすことを誰もが知ることとなり、脱原発の声が大きくなった。5月6日の菅総理の要請により東海地震の切迫性という理由のもとに唯一全面停止された浜岡原発。この裁判が今までになく注目を集めていることは、マスコミの取材陣の多さが証明していた。
 裁判所に提出した書類の確認が行われた後、原告、被告双方が10分間ずつ更新意見を述べた。
 海渡弁護士が、浜岡原発停止の政府決定は条件付きながら評価するとし、中電は運転再開という不可能な事業のための追加投資をやめて再生可能エネルギー源への転換のために投資するべきだと主張した。裁判所には第2の原発震災を未然に防ぐため、運転再開を認めない判断を下すように求めた。一審で被告側証人として出廷した、現在原子力安全委員長である班目春樹氏の再尋問を行うこと、福島原発事故を踏まえて津波を争点とすること、非公開の進行協議だけでなく、口頭弁論の開催をすることも求めた。
 被告側弁護士は書面を機械的に読み上げ、安全指針に則り、十分な余裕をもって設計しているなどと相変わらず原発の安全性のみを主張した。中越沖地震や駿河湾地震を踏まえ、地下構造調査を行っている。福島第一原発事故の原因究明を踏まえ、津波対策として中長期的な対策をし、安全性を検討すると述べた。
裁判長は、「福島原発事故の原因究明の調査がなされていくなかで、検討しなければならない問題点も変化していく。進行協議の期日を入れ、臨機応変に争点を整理して進めたい」と述べた。
 河合弁護士は被告側弁護士に対し、これからの調査結果によっては廃炉にする考えがあるのかと質したが、「対策を講じて安全性の主張立証を検討する」と言うにとどまった。河合弁護士が「やめるのか、再開を決めていて安全を立証するのか」とさらに詰め寄ったが、裁判長が「安全が立証できなければやめるのは当たり前のこと」と答えた。
次回の裁判期日の協議は行われず、40分ほどで終了した。
■報告集会
NBF日比谷ビルで裁判後に集会が開かれた。河合弁護士は、裁判の印象に残ったこととして、福島原発事故が起きているにもかかわらず、中電は以前と何も変わっておらず、事故に対する反省や思いが出ていないことを挙げた。裁判では「もともとどんな調査結果が出ても再開するつもりではないのか」を質したかったと述べた。(報告:杉山)
10/4進行協議の傍聴報告
 10月4日午後3時から東京高裁16階第1号法廷にて、非公開で進行協議が行われた。丸いテーブルを囲み、裁判官と書記官をはさんで原告被告双方の弁護士10名が席に着いた。
 3日付けで、双方から準備書面が提出されている。中電側の準備書面(8)の内容はこちらの主張に対する反論ではなく、福島第一原発事故の直接原因として「全交流電源喪失」と「海水冷却機能喪失」を挙げ、講じている対策の説明となっている。    
 はじめに、遅れている中電の追加地下調査の報告について、裁判官、只野弁護士、河合弁護士が進捗状況を質したが、中電側は解析中で見通しがわからないと答えた。
 津波と海底地すべりの危険性に関する新知見を論じた準備書面(12)について、内山弁護士が説明した。
▼東大地震研究所の都司准教授の研究により、浜岡原発の前面の海底地形は津波のエネルギーが集中する場所だとわかった。「浜岡原発は地震だけでなく、津波の被害も受けやすい場所に立地している」と指摘している。
▼土木学会原子力土木委員会津波評価部会作製の「原子力発電所の津波評価技術」では、1790年から1990年までに発生した津波の発生原因の3.3%が地すべりによるものとされている。
▼2009年8月11日の駿河湾地震では焼津で62センチの津波が観測された。独立行政法人海洋研究開発機構が深海探査機による調査で焼津沖合いに海底地すべりの痕跡を発見した。この地すべりが津波の高さに影響をもたらしたと思われる。
▼2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震においても海底地すべりが津波を大きくさせた可能性がある。
▼浜岡原発付近では海底地すべりが幅数十Km以上で発生する恐れがあり、50m以上の高さの津波が原発敷地を襲う恐れがある。海底地すべりによる津波はまだ研究課題であり、安全審査の対象とはなっていない。津波の高さが高く、建屋が破壊されれば、格納容器も破壊され燃料プール内の使用済み燃料も押し流されることとなる。
 裁判官から、交替した新しい裁判官を対象に内輪で基本的な地震動と原発の関係の説明会を開催してほしいとの要望があり、原告60分、被告40分で質疑応答も含めて行うことに決定した。
 河合弁護士は、中電側がこちらの主張に対して反論もしないため、争点整理をし、福島原発の事故調査委員会の中間報告が出たところで浜岡について検討し、証人尋問をするべきだと主張した。また、中電の防波壁工事の完成する来年末までに判決、少なくとも仮処分を出してほしいと訴えた。裁判官は聞いておきますと答えた。
 中電側は福島第一原発の事故調査委員会や中央防災会議の結論が出ていない段階では進めることはできないと主張したが、裁判官は中間報告が年末に出ることから、年明けからダイナミックに動くと期待したいと答えた。
■今後の予定
 2011年12月20日(火)15:00〜17:00 進行協議(説明会・非公開)
 2012年 2月17日(金) 11:00〜12:00 進行協議(非公開) (報告:杉山)
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 三重県独自のシミュレーション  10月4日中日新聞  
                  M9・0で津波は?
  県は3日、東日本大震災級のマグニチュード(M)9・0の巨大地震を想定した独自の津波浸水予測調査の結果を発表した。国の中央防災会議が想定するM8・7の場合に比べ、浸水時の深さ2メートル以上の地域が大幅に増え、県南部で最大津波高も2倍近くに達することが分かった。
 名古屋大大学院工学研究科の川崎浩司准教授(海岸工学)が、M9・0の東海・東南海・南海の三連動地震が発生したとの想定でシミュレーションした研究結果を基に県がまとめた。
 県地震対策室によると、防潮堤などが倒壊した最悪のケースで、県全体での浸水面積は北勢や中勢の平野部を中心に増え、465平方キロメートルとM8・7に比べ1・8倍になった。浸水深が2メートル未満の地域は177平方キロメートルから146平方キロメートルに減少したが、2〜4メートルでは3倍、4〜8メートルでは7倍と大幅に増えた。8メートル以上では0・2平方キロメートルから29平方キロメートルと145倍になった。
 津市では沿岸部で4メートル以上浸水する地域があり、津市役所も2〜3メートル浸水。四日市市では沿岸部のコンビナート地域が最大2メートル程度水没する。リアス式海岸を抱える県南部や熊野灘沿岸では高い津波が押し寄せて浸水深が深くなり、尾鷲市では市街地で8メートル以上浸水する地域もある。
 12地点で最大津波高をM8・7と比較したところ、全地点で上昇。最大は熊野市新鹿町で8・93メートルが15・64メートルとほぼ倍増した。大紀町錦では従来よりも5メートル、尾鷲市でも同2メートル以上高い津波が襲うとの結果が出た。
 鈴木英敬知事は「浸水深も深くなり、とても深刻なデータと受け止めている。今後、市町が避難計画を作る際に役立つ。自分の身は自分で守るという意識で、とにかく逃げてほしい」と述べた。
 今後、県は今回の調査を基に避難所や避難場所を点検し、防災対策を進める。県は今回の結果を県のホームページに掲載。閲覧希望者は「防災みえ」と検索する。



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